DX 化を推進するための第一歩として取り組んでおきたい " 業務プロセス可視化 " の重要性について、前編と後編の2回に分けてお届けします。

後編の本記事では主に、DXプロジェクトの重要なステップである現状把握についてです。

「As-Is」を正しく認識するには

1.データドリブン思考

「As-Is」を正しく認識するためには、定量的なデータに基づいて業務プロセスを可視化していくことが重要です。データをもとに現状を可視化することで、その後の施策につなげるというデータドリブンな思考が非常に重要になってきます。例えば営業であれば商談数やリード数、見積もり件数など、業務プロセスによって KPI を設定し、Excel や BIツールなどで可視化を行っている企業は少なくないが、KPI となる数字単体をモニタリングしたとしても、なぜKPI がその数字に設定されているのか、この KPI をどう改善させればいいのかといったことは、経験と勘に頼っているケースは多いのではないでしょうか。

現状設定されている KPI は、実際には業務プロセスの一部を抜き出したものであり、設定された KPI を確かなものにしていくためには、その間にある業務プロセスをデータドリブンでしっかりと可視化し、その中に KPI を
改善していくためのインサイトを見つけ出すことが重要になります。

2.プロセスの中に隠れたインサイトを探す

例えば、見積提出の時間短縮が商談を優位に進める大きなポイントだった場合、プロセスごとのタイムスタンプを正確に把握し、それを縮めるための手立てを講ずることになるでしょう。

一般的には、見積提出には製造部門への納期確認や上司への価格承認などのプロセスが発生しており、メールや SFA、グループウェアといったさまざまなソリューションを駆使して上司や他部門とコミュニケーションを図っているはずです。見積作成のための情報収集や承認作業も含め、誰がどんな処理を行っているのかをきちんと可視化することで、最終的な KPI である見積提出の時間を改善することができるようになります。

これまで課題と感じていなかった新たなインサイトを見つけるためには、ビジネスプロセスを可視化していくことからスタートするべきで、その可視化こそが DX 化成功の第一歩です。

DXプロジェクトの進め方の第一歩は"プロセス把握"から

アナログ的な可視化も必要

データドリブン思考の重要性を述べたが、まずはアナログ的な手法でバリューチェーンと業務プロセスをしっかりと見ていくことが重要です。多くの企業では、業務手順書などにプロセスを落とし込んでいる、もしくは日々積み重ねられた経験をもとに頭の中で業務プロセスを手順化しているのではないでしょうか。まずはこれらを共通の体系化された情報に落とし込んでいくことから始めていきましょう。

具体的には、業務に関わる人にヒアリングを実施したうえで、UML をはじめとしたビジネスプロセスのモデリング手法を利用して図示化、誰がどのプロセスにどう関わっているのかを可視化していくことになります。この可視化されたビジネスプロセスに対して、業務ごとにシステムを利用しているケースは多いのではないでしょうか。この図に対して利用しているシステムをマッピングして整理していくと、どのシステムからどんなデータが取得できるのかが見えてくることになります。

バリューチェーンを業務プロセスにブレイクダウン

ここまでくれば、各プロセスの KPI として設定していた数字を、どのシステムから取得すればいいのかが明確になるだけでなく、各システムのタイムスタンプから、業務を完了させるための時間を割り出すことも可能になり、KPI 達成に向けた施策や改善策が仮説として見えやすくなってきます。得られた情報から改めて KPI を設定し、それをモニタリングしながら PDCA をまわし、改善プロセスにつなげていく。そうすることで、DX 化の目的だった売上の最大化や業務の効率化によるコスト削減につながる施策を進めることができるようになります。

業務プロセスとKPIの整理

暗黙知を可視化

しかし、上述したプロセスの可視化だけでは「As-Is」を十分に把握できたとは言えません。なぜなら、プロセスの中で発生するコミュニケーションや各プロセスにおける成功事例など、これまで暗黙知として処理されてきた情報が含まれていないからです。
これまで分析対象になっていなかった暗黙知をデータとして可視化することができれば、新たな着想が得られるようになります。例えば、コールセンター対応から営業など他の部門への展開が遅く、顧客の声をタイムリーに活用できていないといった課題に対し、オペレーターや顧客の音声データを収集し、感情解析をしたり、テキスト化をして自然言語解析を実施していきます。単なる内容だけではなく、温度感が高い顧客はどのような言葉や感情で会話をしているのか、また顧客満足度の高いオペレーターの発する言葉や感情の傾向をデータとして可視化することで、まさに DX 化に向けた具体的な施策が立案できるようになるわけです。

ここで重要になってくるのが、改善につながる仮説をもとに、プロセスの可視化と迅速な PDCAを通じてブラッシュアップしていく取り組みです。そこで有効になってくるのが、各システムのログを相関的に分析、可視化できる統合ログ基盤であり、なかでも便利に使えるのが Splunk です。統合ログ管理プラットフォームである Splunk は、ビッグデータ分析などに強みを持っているソリューションです。システムログを利用した稼働監視をはじめ、セキュリティに関連した各種センサーからログ収集、統合的に管理することでセキュリティインシデントの対応を迅速に行うSIEM として活用されています。

Splunk の特徴は、構造化・非構造化データも含めて事前にスキーマ定義をせずにデータを取り込むことができ、一意のキーをベースに複数のログを相関的に分析することができる点です。また、大量のログも迅速に処理できるような構造を持っているため、複数システムにわたる大量のログも素早く解析することができるようになります。

あらゆるデータを取り込み可能なSplunkの魅力

1.データの前処理が不要

プロセスの可視化における Splunk 最大の魅力は、たとえモニタリングに必要なデータの品質が良くない場合でも、フォーマットを気にすることなくシステム内に取り込める点です。Splunk 内にデータを取り込んだ後から、しっかりと意味づけを行うことで品質を高めることできるようになります。
一般的なログ管理製品では、その製品に合った構造にデータ変換しないと取り込むことができず、データの加工や変換など、前処理に多くの時間を要することに・・。場合によっては、取得するデータ元のアプリケーションそのものの改修が必要になる場面もあるため、コスト面でも課題が出てくる可能性もあります。本来であれば迅速なPDCA を回して仮説検証が必要だが、その前処理に余計な手間がかかってしまうだけで、PDCA をうまく効率的に回していくことは難しいでしょう。その点 Splunk であれば前処理の手間もなく、すぐに分析することができるようになります。

2.わかりやすいダッシュボード

また、人の目で見てわかるような形にダッシュボード化できるかどうかも重要なポイントの 1 つ。通常のログ管理製品の場合、誰がその作業をしたのか分かるようにするため、IP アドレスの情報を Excel など別のシステムで名前に変換した後に取り込むといった前処理が必要です。Splunk であれば変換テーブルに対してルックアップするだけで、人の目で見て分かる情報が容易にアウトプットできるようになる。前処理なくデータが取り込める Splunk ならではの魅力と言えます。

ダッシュボードの画像

3.非構造化データに強い

さらに、アクセスログや自然言語など非構造化データのなかにインサイトが隠されているケースが多く、これらRDB によって構造化できないデータも有効に活用できるのが Splunk のメリットです。

マクニカネットワークスが提供するDX支援ソリューション

各システムから収集した情報を集約し、意味づけしたうえでダッシュボード化できる Splunk ですが、これまで得られていない知見を発見するために AI のモデルを活用するといった、外部ソリューションとの連携が必要になってくる場面も少なからずあります。そんな外部との連携についても Splunk は考慮されており、最新のテクノロジーをフルに活用することも容易です。各プロセスの情報をSplunk で収集したうえで他のツールで分析を行い、その結果を表示するダッシュボートとして再度 Splunk を活用するといった使い方も増えています。ただし、外部サービスと連携し、自社に適した分析手法を選択するにはノウハウや経験が必要になります。

マクニカネットワークスでは、Splunk のパートナーとして豊富な事例を持っているだけでなく、サードパーティのさまざまなツールと連携しながら、自社の課題の洗い出しから最適な手法の選択、Splunk 等を活用したサンプルづくり、組織を巻き込みながらの体制整備、そして改善に向けた PDCA 支援など、DX プロジェクトの成功に向けて共に併走します。
実際のユースケースでは、Empath 社の感情解析 AI やLuminoso 社の自然言語分析 AI と Splunk を連携させることで、コンタクトセンターにおける DX 化を支援したり、Deep Vision AI と呼ばれる画像解析技術を活用して位置情報をベースに行動分析を行ったりなど、さまざまな技術を柔軟に組み合わせることで、自社が目指すべき DX 化成功の支援が可能です。

例1:ビジネスプロセスの改善

マクニカネットワークスでは、DX 推進に向かうための課題設定から具現化策の提示を行い、プロトタイプを作成した段階でプロジェクトとして成果が出るかどうか、そもそもプロジェクト化すべきかどうかを、仮説をもとに判断。プロジェクトをスタートさせるまでの "DX 化の第一歩 " を、スピード感をもって支援する体制を整えています。
ぜひお気軽にお問合せください。

プロジェクトをスタートさせるまでの画像

本記事でご紹介した内容は、ホワイトペーパーでも全貌をご欄いただけます。

また、各種オンデマンド動画もございますので気になる方は是非ご覧ください。

【オンデマンド動画】