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今、すべての企業に求められているのは、データとAIを活用し、ビジネスを変革させながら競争優位性を創り出していくことです。しかし、必要なDX/AI人材が圧倒的に不足しているのが課題になっています。マクニカネットワークス DX事業部AIビジネス部の平原が、デジタルトランスフォーメーション(DX)やAIの目指すべき姿について改めて整理するとともに、人材不足解消に有効な共創パートナーやデータサイエンティストコミュニティの活用について紹介します。

DX・AI活用を阻む壁とは

経済産業省が2020年12月に公表した「DXレポート2 中間取りまとめ」によると、95%の企業はDXにまったく取り組めていないか、もしくは取り組みを始めたばかりの段階であり、全社的な危機感の共有や意識改革のような段階に至っていません。そして、先行企業と平均的な企業のDX進捗状況に大きな差があると分析しています。

ほとんどの企業ではDXを進めたいと考えているものの、部署ごとの散発的な実施にとどまってしまっていたり、情報収集の段階で止まってしまったりしている状況です。事業変革の体制を整え、外部環境の変化に迅速に対応できるデジタル企業になることを目指しているものの、うまくいっていない状態です。

デジタル企業へのシフトを阻む大きな壁には、「DX戦略の策定」「DX推進体制の整備」「DX人材の確保」 の3つがあります。これらの壁を超えなければ、DXの本来の目的である「デジタルを活用した事業変革」にはたどり着くことは出来ません。

一方で、こうした壁を超えてデジタル変革が成功している企業では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。アメリカの大手小売企業では、カメラ付きのロボットや天井に設置されたカメラが商品棚を撮影し、蓄積した画像データをAIで解析することで、どの商品が、どのタイミングで、どれくらい減っているかリアルタイムに算出しています。

その結果、データドリブンな施策が打てるようになります。例えば、顧客向けのアプリで店内のマップとともに、商品棚の商品在庫の欠品状況を発信しています。これなら実際に売り場に行って商品が無かったという事態を防げます。顧客目線で考えると、「商品在庫が視覚化されているので、来店時に必ず欲しい商品があることがわかる」という利便性の高い店舗になります。つまり、データとAIによって顧客体験そのものを変えているのです。さらに、商品棚のデータは倉庫の在庫データともリンクし、サプライチェーンの最適化にも活用されています。

データが競争力の源泉となり、AIを使うことによって新たな価値を生み出し、それらが循環するループを創っていることがポイントです。DXはピンポイントでデジタル化する取り組みではなく、このようにビジネス全体を連動させながら新たな価値を生み出していく、ループを創るものだと考えています。このループをいかに早く創るかが、競争力の差になります。そこで重要になるのが、『DX戦略』『DX推進体制』『DXの人材』なのです。この3つの中で最もクリティカルな問題が、人材リソース不足です。

人材不足の課題を解決するための3つのポイント

CIOやCDOといったポジションを新しく設け、外部から登用し、その人を中心に戦略を考えるといった取り組みが行われていますが、ブレーンがいくら賢くても、実際に現場で手足を動かして実行していく人材DXスキルやリテラシーが圧倒的に足りない状況です。では、現場の人材がどのようなスキルを身につけていく必要があるのでしょうか。

大まかに分解すると、ビジネス力、データエンジニアリング、システムエンジニアリング、データサイエンスといった領域についてのスキルが必要です。このうち、ビッグデータやAIを活用していくとなると、データサイエンスとデータエンジニアリングのケイパビリティが必要になってきます。これらの領域を扱える人材は特に足りないと言われており、どのように補っていくかがDXの成功に直結します。

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この人材不足を補う手段は、「人材を新規に採用する」「内部人材をスキルアップする」「外部のリソースを活用する」の3つがあります。

新規採用は、調達難易度が高くて人材維持にも課題があります。内部人材をスキルアップするには時間がかかるので、中長期で取り組むべき施策ではあるものの、すぐに結果に辿り着くことができません。外部リソースだけを活用した場合には、即効性がありますが、適切なベンダー選びが必要ですし、ベンダーに投げっぱなしになり自走できなくなることを防がなければなりません。どれか一つに頼るのではなく、どれもバランスよく検討していく必要があります。

ですが、適切なスキルセットを持ったデータサイエンティスト人材を獲得するのは、容易なことではありません。そこでマクニカでは、「共創パートナー」を見つけ、共に走りながらDXを進めることを提案しています。DXは、デジタル技術を使って、今までの延長線ではない新しい価値を生み出していくことです。それには「自社だけで全て完結させる」といった自前主義である必要性はなく、知見のあるビジネスパートナーを上手に活用しながら、共創活動の中で実現していくべきだと考えています。

事業会社が今まで培ってきたナレッジ、データ、顧客、そして『デジタルを使いこなす』観点は必ず必要になります。また、ITベンダーの共創パートナーが持つテクノロジーや技術・知見と、『デジタルだからこそ』できるの観点の発想も求められます。これらを掛け合わせ、中長期の共創活動の中から生み出されるものが、デジタル変革だと考えています。

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データサイエンティストコミュニティの活用がAIを活用した課題解決に有効

続いて、DXに欠かせないAIを事業に取り入れる際のポイントをいくつか紹介します。

ビジネスは企業によって異なりますし、そこで生まれるデータも異なってきます。自社のビジネスの違いに応じて、適切な共創パートナーも変わってきます。また、それぞれの企業において、DX戦略、DX推進体制、人材リソースや評価の基準となるKPIは異なります。故に、どんな環境・制約条件下でも高い精度・ビジネスインパクトを生み出すAIは存在しません。自社に最適なAIの利用・モデルは自ら考え、作り上げていく必要があります。ベンダー側にも、当然違いがあります。ベンダーが確保している人材や得意領域は異なってきますので、自社の状況や課題・戦略を見極めながら共創パートナーを選んでいく必要があります。そもし自社のフェーズがAIモデル開発を行うようなフェーズの場合、AI開発のベストプラクティスの1つと言われている手法が「データサイエンティストコミュニティ」の活用です。

データサイエンティストコミュニティを活用することで、コンペティションを通して、課題やデータセット・評価指標に対して最も評価の高いモデルを選定することができます。ビジネス課題と紐づいたAIモデル開発案がある場合に、課題とデータセットをコミュニティに提出します。すると、世界中のデータサイエンティストが競い合いながら、課題に対して最適な結果を導くAIモデルの開発を同時並行で進めることが出来ます。世界中のデータサイエンティストの知見や特徴量設計のアプローチを、異なるアプローチを比較しながら、サイエ的な手法を選んでいくことができるのです。

いわゆるクラウドソーシング的なアプローチによってAIモデルを開発するもので、これが最も効果的な方法の1つと言われています。理由は3つあります。

1つ目は、データサイエンティストコミュニティには多様な人材が所属しているため、100人、1000人といった規模の知恵を得られることです。

2つ目は、オープンイノベーションによる革新的な開発を生み出すことができるためです。自社の人材に限らず、優秀な人材を集めて課題解決検討を行うほうが、よりよい解決策のアイデアが生まれる可能性が高まります。

3つ目の理由は、データサイエンティストのバイアスを回避しながら多数の異なるアプローチを短期間で比較できることにあります。これらの理由から、データサイエンティストコミュニティを活用したAIモデル開発は優れていると考えています。

マクニカでは、CrowdANALYTIXが持つデータサイエンティストコミュニティを中心に、企業のデジタル変革を様々な観点で支援しています。詳細はぜひお問い合わせください。

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