日本企業の9割以上はDXの取り組みが不十分と認識、DX推進の水準を上げるポイントは「組織横断」

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、優れた技術やソリューションを用いたからといって成功するわけではありません。現実的には、既存組織のビジネスプロセス理解や、複数組織のプロセス統合、各組織の関係者の巻き込み方が高いハードルとなり、失敗要因となっています。ここでは、日本におけるDXの取り組みの現状と、マクニカネットワークスが支援した先進事例などにについて解説します。

企業のDX関連推進事業部は倍増

経済産業省の定義によると、DXは「データとデジタルを活用して『業務そのもの』『組織』『プロセス』『企業文化・風土』を変革し、『競争上の優位を得る』こと」です。

「競争上の優位を得る」というのは、究極的にはビジネスモデルを根本的に変革し、新しいビジネスモデルや価値を、データやデジタルで生み出すことと捉えることです。ただ範囲がかなり広いので、狭義の意味に絞ると、営業の売り上げを伸ばす、業務の効率を上げる、コストを削減するといった具体的な目標をその会社の中で定めて、データやデジタルを使って会社を変化させていくことが重要になります。

また、DXはひとつの組織で成り立つことはなく、複数の組織で連携して進めていく、『組織横断』が重要です。マクニカでは、実際に昨年から多数のDXプロジェクトを支援していますが、複数の組織が絡んでDXを推進するケースが特に増えています。

DX推進のレベルアップを阻む"組織の壁"

日本のDXを取り巻く環境について、IPAでは「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート」を公表しています。これはDXを推進している企業300社以上を対象に、その推進度合いを自己申告で回答したものです。これによると、経営視点、IT視点、そして全体においても目標に達していないという結果となっています。

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9割以上の企業は自社のDX推進が不十分だと捉えています


IPAの指標では、DXの推進レベルを0から6までの6段階で分類しています。レベル0は全くの未着手で、具体的な取り組みに至っていない。レベル1および2は、一部ないしは限定的な箇所で実施されている状態で、それが散発的なのか戦略的なのかという違いです。

レベル3以上になると、一部ではなく全社戦略に基づいた部門横断、つまり複数部門にまたがって進めている状況で、全社のコアな戦略に基づいて進んでいる状況となります。レベル4および5では、その取り組みが持続的かつグローバルに展開されているという指標です。

本調査結果では、レベル3以上は全体の8.6%にとどまっています。逆に言えば9割以上はレベル0からレベル2の段階にとどまってしまっています。

経済産業省が2018年に提示した『2025年の崖』を回避するために多くの会社がDX推進に取り組んでいますが、そのためには、レベル3以上のDX推進が必要になります。レベル3以上になるためには、全社を巻き込んだ総合的な戦略で進めていく必要がありますので、やはりそこに壁があるという状況と思われます。

では、その指標まで自社のDX推進レベルを上げるためには、どのような課題を解決すべきなのでしょうか。

マクニカネットワークスのお客様のなかにも、組織横断でのDXに課題を抱える方が多くいます。例えば、DX推進の担当者は、デジタル化やデジタルデータの分析をキーに自社のビジネスモデルを大きく変革していきたいという強い気持ちを持っていましたが、経営者にはそういった施策に理解が及んでなく、社内のコンセンサスを取るのが非常に難しいというケースがあります。これは一部での散発的な実施、つまり全社戦略が明確でない中で、部門単位でDXを推進しているという課題です。DX組織を立ち上げたとしても、事業部側と意識の差があると連携は難しいと言えます。

先進事例に見るDX推進の成功のポイント

1.既存ビジネスモデルへの圧倒的な危機感

某マーケティング会社では、国内市場が完全に飽和していて、競合他社も多く、差別化がかなり難しい状況でした。現状のビジネスを続けても、売り上げやその利益の継続が難しく、新たなビジネスモデルの模索や確立が急務となっていました。同社のDXが成功したポイントは、経営者の方が強い危機感を持っていたことです。DXの組織を発足するにあたり、DX組織のメンバーもしっかりと検討され、高い意識を持つメンバーがアサインされました。また、DX推進がいかに重要かを、経営者から現場のメンバーに対して熱意をもって説明されていたため、同社が持つ経営上の危機感や課題が現場のメンバーにも浸透されていました。高い熱量をもってプロジェクトを推進できたことが、同社のDX推進成功のポイントと言えます。

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2.DX推進組織の役割と事業インパクトにあたえる仮説シナリオの明確化

他部門を巻き込んでDXを推進した結果、短期間でさまざまなビジネス効果を得た製造業の先進事例もあります。

ある製造業の会社では、すでにDXの推進組織があり、社内でもデータドリブンの話が進んでいました。全社へのコミットメントをもとに、DX推進組織のメンバーが社内の事業部を回り、自分たちの取り組み内容をプロモーションしたのです。そのプロモーションにより、社内のDX推進組織の認知度も高まりました。同社ではスピード感と成果を特に重視しており、データ分析にAIによる予測を加えました。その結果、年間数億円のコスト削減をわずか3ヶ月で実現。また担当者に対して、ミッションや達成基準を明確に伝えたことも成功のポイントです。

ブログ図2.jpgこのことからわかるように、まずは自分たちがなりたい姿、目標とする姿を思い描き、期限を明確に設定し、DX推進部門、事業部門、IT部門、そして経営者を含む全員で共有することが重要です。そして、現状も正確に把握して、何が足りないのかを考えます。As-IsとTo-Beのギャップを問題として定義し、具体的な課題を見つけて優先順位を決め、時間軸も含めて順番に解決していくことも、DXの推進で重要なポイントになるでしょう。

DXの推進には、課題設定からプロジェクト回収に至るまで複数のステップがあります。マクニカネットワークスでは、課題設定からプロジェクト開始に至る各プロセスを支援し、企業のDX推進を強力に後押しします」。

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