コンタクトセンターやサポートデスクの「問い合わせ対応の品質」は、顧客満足度に大きく影響するため、対応品質向上は企業の至上命題と言えるでしょう。そこで役立つのが、「テキストマイニング」による効率化と属人的な対応の解消、そして「音声データ」の活用です。本記事では、テキストマイニングを活用したサポート応対品質の向上施策、ニューノーマル時代の音声DXについて、それぞれ手法や活用のコツを解説します。

顧客満足度向上のカギはサポート品質にあり

今起きている大きな変化の1つにサービス化、サブスクリプション化があります。いわゆる「モノを売りからコト売り」への変化です。契約期間が短縮されたり、事前の告知なしに値上げされたりすることで、利用者が離反してしまうリスクも高まっています。いかにして顧客体験を向上させて継続利用してもらうか、つまり利用者のエンゲージメントを高め「ファン」にさせることができるかが問われます。

顧客とのタッチポイントでメインになる、アフターサポートの品質をいかに向上させていくかが、今のビジネス課題を解決することにつながるでしょう。お客様と会話するなかで、みなさんボトルネックとして挙げるのは『ナレッジマネジメント』です。

ナレッジマネジメントとは、知見やノウハウといった知的資産を共有し、イノベーションにつなげることで、全体的な生産性を向上させる経営管理手法です。ナレッジマネジメントが上手くいかない原因は、大きく2つあると考えられます。

1つ目は暗黙知が発生することです。問い合わせ内容の切り分け方や対応が経験則に頼りがちになるため、若手とエキスパートでは品質のブレが大きくなってしまいます。2つ目はナレッジ管理の品質です。膨大なパターンをきれいにFAQとして整備できておらず、システムから過去の対応履歴などを引き出すのに時間を要したり、間違った回答をしてしまったりするのです。

ナレッジマネジメントの具体的な課題と「テキストマイニング」による解決

暗黙知が介在すると属人化し、品質のばらつきが発生し、パフォーマンスにも影響してしまいます。いかに早く正確にナレッジや過去事例たどり着き、利用できるかが重要になります。

一般的なテクニカルサポートデスクにおいても、属人的になりがちなオペレーションがいくつも含まれています。1つはオペレーターが問い合わせの意味を理解する際の対応です。顧客は問い合わせ内容を整理できているとは限らないため、不明瞭な情報をもとに理解できるようになるには豊富な経験が必要です。2つ目は、オペレーターの推測です。問い合わせの背景や期待をくみ取れるか、最適な切り分け方法を推測できるかは、オペレーターの経験則がモノを言うところで、暗黙知に依存します。3点目は、検索システムでのオペレーションです。適切な回答を引き出すための検索ワードに「あたり」をつける精度は、オペレーターの経験則に依存します。

サービスの現場におけるナレッジマネジメント

一般的なテクニカルサポートデスクを例に作成したオペレーションフロー

では、こうした人が介在する属人的なプロセス自体をなくすことができないのでしょうか。

問い合わせの文面そのものを検索ワードに使って、類似した過去事例を検索することができれば、人が介在するステップを大きく削減でき属人性を無くすことができます。そのためには、人が行っている文面の理解をシステムで代替する必要があり、『テキストマイニング』の手法を用いて実現することができます。

上述した属人課題を解決するソリューションとしてマクニカでは、自然言語を理解するLUMINOSOというエンジンを使った「あいまい検索システム」を提供しています。

「あいまい検索システム」の特徴

本システムを活用することで、オペレーターが問い合わせを受けた際に、内容の確認から適切な過去事例の発見までに必要な経験則、人による検索方法のばらつきを排除することができます。
具体的には、問い合わせ文面をそのまま検索画面にコピー&ペーストするだけで、数秒で過去のナレッジにアクセスすることができます。
また、オープンソースによる開発と比較して、本システムではLUMINOSOの自然言語処理・テキストマイニングを活用しているため、初期モデルの作成、チューニングは数分で処理することができ、大幅なシステム構築時間の削減を可能にします。

マクニカのあいまい検索システムを活用することで、短時間での立ち上げが可能になります。一方で、自社で開発すると最初に時間がかかってしまいますが、データサイエンティストがナレッジをためられますし、柔軟性のあるやり方とも言えます。どちらも一長一短ありますので、自社の方針に応じて選択いただければと思います。

弊社で作成したシステム

あいまい検索システムの構成イメージ

「顧客の声」そのものである音声データを分析し活用

サポート品質向上を図るために、注目したいのが「音声」の活用です。

音声は『宝の山』であり、『顧客の声』そのものです。それには、アンケートでは拾えない本音や話者の特徴・感情・話し方など、テキストデータからは拾えない情報も含まれています。

ビジネスでも音声の活用が広まってきています。営業日報や議事録作成の効率化、感情分析によるメンタルケア、コールセンターにおけるクレームの分析やオペレーターのスキルアップなどに活用されています。

音声データにおけるDX実施手順

音声データを分析し可視化する手法のイメージ

また、コールセンターのCRMなど既存のプラットフォームが持つテキストデータや顧客情報と組み合わせて分析することで、より高い価値を生み出すことも可能になります。なかには、コールセンターの品質向上を目的に音声を活用し、話者の感情を可視化し解析したデータをもとに顧客対応の向上を図っている事例などもあります。

1on1ミーティングの音声を分析し、社員のメンタルを可視化

マクニカの社内でも、1on1ミーティングの音声を分析しています。このミーティングでは、マネージャーが各担当者の業務状況を確認しケアすることを目的としています。
昨今のリモートワークですと、社員の状況を目視で確認したり雑談したりすることが難しくなっています。音声を分析することで、社員のメンタルを定量的に把握することができます。

ここでは感情を前回のミーティングと比較したり、時系列の推移を見たりしています。Beluga Boxで出力されるパラメーターを「元気度」として表示し、過去のミーティング時と比較することでメンタルの低下が起きてないかを確認していきます。

ダッシュボードに残業時間やアンケートといった情報を加えれば、元気度の変動と合わせてチェックすることができるため、早期にフォローすることが可能になります。

音声の利用シーンは、これから増えてくると予想されますし、私たちの生活と切り離せないものになるでしょう。ビジネスで活用したいアイデアがありましたら、ぜひご相談ください。

1on1ミーティング 分析事例

ポジティブな感情を数値化した「元気度」を用いて、社員のメンタルを可視化

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