ネットワークパフォーマンスの可視化の最新ソリューション
はじめに
「ユーザーから"ネットワークが遅い"とだけ言われ、どこを見ればよいか分からない」
「クラウドサービスとSaaSが増えたことで、障害箇所の特定が難しくなった」
そんな監視に関する悩みを抱える情シスの担当者・マネージャーは多いのではないでしょうか?
かつては社内LANやキャリア管理のWAN、データセンターで完結していたネットワークが、今やクラウド、VPN、SaaSといった多層的な構成に変化し、従来の監視手法では限界が見えてきました。
このような状況の中、今注目を集めているのがDEM(Digital Experience Monitoring):ユーザー体験を可視化するソリューションです。本記事では、ネットワークパフォーマンスの可視化に課題を感じている皆さまに向けて、DEMの活用による解決策を分かりやすく解説します。
目次
- 複雑化するクラウドアクセスとパフォーマンス監視の課題
- 解決のアプローチ:ユーザーエクスペリエンスモニタリングの進化
- Catoが提供するユーザーエクスペリエンス可視化のアプローチとは?
複雑化するクラウドアクセスとパフォーマンス監視の課題
クラウドシフトにより、企業のIT環境は以下のような特徴を持つようになりました。
- 社内と社外(自宅・出張先)をまたぐアクセスパターン
- マルチクラウド・マルチSaaSによる接続先の分散
- ゼロトラスト導入によるネットワークセグメントの細分化
この変化によって、「どこで問題が起きているのか?」を即座に把握するのが難しくなりました。
従来型のSNMPやフローベースのネットワーク機器に依存した監視では、クラウド上のパフォーマンス情報は取得しづらく、「ネットワークは正常」だが「ユーザーは不満」という状況が頻発するようになっています。
例)
- Zoom会議が頻繁に切れるがネットワーク上は異常なし
- 特定のSaaSアプリだけ動作が遅いが他の通信は快調
- 出張先や自宅からのアクセス時に限ってレスポンスが劣化
こうしたケースでは、ネットワーク側が"正常"に見えても、ユーザーの体感としては"異常"であり、サポート部門との齟齬が生まれてしまいます。
解決のアプローチ:ユーザーエクスペリエンスモニタリングの進化
ここで活躍するのが、『DEM(Digital Experience Monitoring)』です。DEMは、実際のユーザー体験を可視化することで、トラブルシューティングを大きく効率化する手法です。
実ユーザーの通信やプローブを用いて、ネットワーク経路をエンドツーエンドで分析することで可視化を実現します。
ユーザーから「通信が遅い」などの問い合わせを受けた際、以下のような観点で調査をスタートすることが多いと思います。
- Wi-Fiが原因か?
- 中継しているISPに障害があるのか?
- アプリケーション側の遅延か?
DEMアプローチではこれら被疑箇所のパフォーマンスを可視化することができます。
これは、ユーザーからの問い合わせを受ける情シス部門にとって極めて有効です。
DEMの代表的なアプローチ
現在のDEM市場には大きく2つのアプローチが存在します。
- エージェント型DEM
端末に専用のエージェントをインストールすることで、ユーザー体験を詳細に把握する方式です。
この方式のメリットと課題は以下のとおりです。
メリット:
- 端末上の詳細な情報を取得でき、ローカルな問題やユーザー個別の状況まで分析可能
デメリット:
- エージェントの配布・インストール・アップデートに運用負荷がかかる
- BYODや社外パートナー端末への導入が困難なケースがある
- OSによってはエージェントの動作制限があるため、ポリシーや設定の調整が必要になる場合がある
- SASE統合型DEM
エージェントの導入なしに、SASEの通信経路上で体感品質を可視化するアプローチです。
メリット:
- エージェントレスまたは最小限の構成で、即時に可視化を開始できる
- 多拠点・在宅勤務・BYODなど、多様な働き方に柔軟に対応できる
- セキュリティと可視化が統合されており、シンプルに管理できる
デメリット:
- 通信がSASE基盤を通過する必要があるため、完全なスタンドアロン環境では効果が限定的
このように、組織のIT構成やセキュリティ方針に応じて、最適なDEMアーキテクチャの選択が求められます。
ここからは、SASE基盤とDEMを統合した代表的なソリューションであるCato Networksのアプローチを紹介します。
Catoが提供するユーザーエクスペリエンス可視化のアプローチとは?
Cato Networksは、SASE(Secure Access Service Edge)をベースにした包括的なネットワーク基盤を提供しています。Catoが提供するDEMは、SASEアーキテクチャに統合されており、セキュリティとユーザー体験の可視化を一体化したアプローチを実現しています。
CatoのDEMが優れているポイント
- エンドツーエンドの可視化
- ユーザー端末からクラウドアプリまでの通信経路をすべてモニタリング
- 遅延、ジッター、パケットロスを各区間(ユーザー端末、Wi-Fi、ゲートウェイ、インターネット、SaaS)に分けて可視化
- 問題の発生区間を一目で特定可能
- リアルユーザーモニタリング
- 実際のユーザーの通信体験に基づく可視化
- トラブルの迅速な特定と対応
- 問題が「ユーザー端末側」「LAN」「キャリア」「クラウド側」のどこに起因するのかを自動的に分析
- 可視化されたデータをもとに、迅速なベンダー連携・エスカレーションが可能に
- 運用負荷の大幅な軽減
- 一元化されたダッシュボードで監視・操作ができる
- 従来のような複数のツールの併用が不要で運用の手間を削減できる
- 追加の設定なく、すぐにDEMを利用可能
Cato DEMの直感的なUI
下図は、Cato DEMのUIの一例です。
ユーザー情報、ユーザー体験のスコア、時系列、コネクションの詳細などが、直感的なインターフェースで表示されます。
このように、接続性のスコアを確認できるほか、通信経路上の各区間におけるパフォーマンスも詳細に可視化されます。
これにより、ボトルネックとなっている区間をすばやく特定でき、トラブルの原因分析と対応を迅速に行うことが可能になります。
おわりに
「ネットワークに問題がある」と言われても、具体的にどこをどう見ればいいのか分からない――そんな課題を抱えている情シス部門にとって、ユーザーエクスペリエンスの可視化は、もはや"あったら便利"ではなく"不可欠"な要素です。
CatoのDEM機能は、SASEのメリットを最大限に活かしながら、ネットワークとアプリケーションの体感品質を見える化し、情シスの負担を大幅に軽減します。
ネットワークパフォーマンスの可視化に課題を感じている方は、ぜひ一度、Catoのソリューションをご検討ください。
Catoについて詳しく知りたい方は、是非マクニカまでお気軽にお問い合わせください。