コストも手間も激減!データパイプラインで切り拓くスマートSIEM運用の新常識
はじめに
企業の情報システムにおいて、サイバーセキュリティや運用効率の確保はますます重要性を増しています。しかし、管理すべきデータ量の増加や複雑化するセキュリティ要件に対し、IT予算は緩やかな伸びに留まっているのが現状です。この記事では、SIEM(Security Information and Event Management)運用の最新トレンドとして、膨大なデータをスマートに収集・転送・分析できるデータパイプライン製品の活用方法とその導入メリットについて解説します。業界動向と具体的なユースケースをもとに、現状の課題から解決策まで読み進めていただけます。
目次
- SIEM運用設計における現状と課題
データ量増加とIT予算のギャップ
データ活用サイロ化問題
柔軟な収集・分析・転送への要求 - データパイプラインが解決するSIEM運用の本質的課題
OSS ETLからのリプレイス事例 - データパイプライン最適化で得られる成果
脅威検知とデータ活用の高度化
SIEM運用設計における現状と課題
データ量増加とIT予算のギャップ
SIEM導入検討時、多くの企業がデータ投入量に頭を悩ませています。実際のところ、管理すべきデータは年々急増している一方で、IT予算の増加は緩やかです。
これは企業が管理すべきデータ量が、IT予算を大きく上回るペースで増えていることを示しています。背景にはリモートワークの普及やサイバー攻撃の増加、さらなるコンプライアンス強化などがあり、これらがデータ量の急膨張を加速させています。
こうした状況では「できれば全てのデータを管理したいが、コスト的に厳しい」という根本的な課題が生じます。高機能なログ解析ツールほど、データ量ベースの課金が多く、現実的な運用工夫が求められるためです。
データ活用サイロ化問題
収集すべきデータソースが多様になるにつれ、運用現場では「サイロ化」――つまり、データ運用が個別に孤立した状態――が起きやすくなっています。
例えば、クラウドストレージやエンドポイント、各種セキュリティ製品など、さまざまな接続・転送方式が混在すると、その都度個別にエージェントを導入したり、異なる設定を管理したりしなければなりません。その結果、全体最適化が難しくなり、運用負荷や人的コストの増加につながります。
柔軟な収集・分析・転送への要求
データ収集や分析・転送のニーズは、迅速化や汎用性を求めるものにシフトしています。今では「分析用」「監査用」「インシデント検知用」など、用途ごとに異なるデータ加工やマスキングも求められます。従来の個別開発・スクリプト運用では拡張性や効率性に限界があり、タイムリーなインシデント対応にも支障が生じます。
データパイプラインが解決するSIEM運用の本質的課題
データパイプライン製品とは
こうした運用課題を一元管理できるのが「データパイプライン製品」です(下図参照)。データパイプラインは、各種データソースから必要なデータをシームレスに収集し、不要項目の削除・高度な加工・マスキングを施し、目的や優先度に応じて適切な分析基盤やストレージへルーティングします。
この図は、サーバやアプリケーションなどのデータソースからデータが生成されてから、SIEMやストレージなど分析基盤に届くまでの流れ全体を、パイプラインが担っていることを示しています。
特徴として、多様なプロトコルコネクタ(Syslog/REST API/クラウド等)を標準搭載し、リアルタイムでデータ加工や振り分けが可能です。結果として個別開発やスクリプト運用から脱却し、運用全体を統合的に管理できるようになります。
SIEM運用への導入メリット
データパイプライン導入によって、以下のメリットが実現できます。
- データ量削減とコスト抑制:不要な項目を除外することで、より多くの有用データを予算内で活用できる
- 運用サイロ化の解消:データ収集/加工/転送を一元化し、全体最適化が可能となる
- 柔軟なデータ設計:用途ごとに加工ルールや宛先を定義でき、リアルタイムで多系統への同時転送も実現
SIEM運用コストや人的工数が大幅に削減されるとともに、セキュリティ運用そのものの高度化にもつながります。
データパイプライン導入のユースケース
OSS ETLからのリプレイス事例
ある大手企業では、従来OSS ETLツールで毎日数百GB単位のデータ欠損やバッチ処理遅延が発生し、インシデント分析に時間がかかるなど、運用に課題が生じていました。新たなデータソース追加や運用変更もスクリプト開発ベースで属人化リスクが高く、分析基盤の拡張性も低かったといいます。
そこで、柔軟かつリアルタイムなストリーミングデータ処理、運用工数削減を目的にデータパイプライン(Cribl)を導入。GUIベースの操作により迅速な接続・処理が可能になり、個人情報などのマスキングや基盤ごとに異なるログフィルタもリアルタイムで自動処理できる環境へと移行しました。
この図は、従来の個別開発型から統合管理型に移行した後、全データソースから一元的かつ柔軟にデータを各種送信先へ連携できる運用像を示しています。
この運用改善により、データ欠損や遅延の解消、運用工数の削減、セキュリティ運用の精度向上まで実現しました。
データパイプライン最適化で得られる成果
脅威検知とデータ活用の高度化
SIEM運用において重要なのは、脅威の予測や早期発見、その迅速・包括的な対応です。そのためには、膨大かつ多様なデータを適切に収集し、用途ごとに加工・活用していくことが不可欠です。データパイプライン製品の最適化運用によって、企業は運用の全体最適化を推進し、セキュリティ運用自体のレベルアップが可能になります。
最後に
SIEM運用を取り巻く環境は今も急速に進化しています。予算や人的リソースに限りがある中で、データパイプライン最適化は運用課題の抜本的解決につながります。最新のCribl製品を活用したスマートな運用体制を選択することで、より安全かつ効率的なサイバーセキュリティを実現していきましょう。
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