当たり前の裏側を支える力――セキュリティコミュニティがもたらす現場の変化
はじめに
企業の情報セキュリティ対策は、セキュリティ事故がないことが"当たり前"のように求められます。その裏で、多くの担当者は「今のやり方が本当に正しいのか」「もっといい方法があるのではないか」といった悩みを抱えており、時に孤独を感じる場面もあります。本記事では、同じ立場の担当者が互いの知見や悩みを共有し合い、一人では見えない解決策を見つけるためのコミュニティ「Taneva(タネバ)」の活動と、その具体的なメリットについてご紹介します。
目次
- 「Taneva」コミュニティ創設の想い
- 活動事例と規模
- 参加者層と地域ごとの雰囲気
1. 参加者の多様性と特徴
2. 社内への説明と参加の後押し
- コミュニティで得られる"現場の価値"
1. 悩みを共有し、物差しを持つ
2. 知見やノウハウの交換
3. 具体的な実践エピソード~コラボ・知識・支え合い~ - 最後に:今後のビジョンとコミュニティが目指すもの
- コミュニティを最大限楽しむ3つのポイント
「Taneva」コミュニティ創設の想い
企業でセキュリティを担う担当者は、常に環境変化や多様な課題に直面しています。「これが正解だ」と断言しきれない領域だからこそ、客観的な視点や他社の取り組みが参考になります。しかし、会社の中だけでは十分な議論や情報交換の場が作りにくいのが現状です。そんな現場のリアルな苦悩を共有し、前向きに進む勇気や自信を得るための場――それが、ユーザー同士で運営する「Taneva」コミュニティの原点です。
「Taneva」はTane(タネ)とValue(価値)を掛け合わせた造語です。コミュニティで生まれた新しい"タネ"が成長し、参加者や企業の新しい価値につながっていくという思いを表しています。
活動事例と規模
「Taneva」は、2023年から大阪・名古屋・東京を中心に始まり、2025年8月時点で12回のミートアップを開催しています。参加者は主に大手企業のセキュリティ責任者で、累計120名を超えています。地域ごとにリアルな課題を持ち寄り、互いの成功・失敗事例を共有し合うことで、課題解決のヒントを得られる場となっています。クラウドストライクユーザーコミュニティ「ファルコミ」などとも連携し、業種や規模を超えた横断的な交流の場が広がっています。
参加者層と地域ごとの雰囲気
1. 参加者の多様性と特徴
Tanevaには、何十年もセキュリティに携わるベテランから、新任の担当者まで幅広い層が集います。大阪では義理と人情、世話好きな雰囲気。東京は真剣で真面目な議論が多く、地域性や空気感の違いも面白いポイントです。
2. 社内への説明と参加の後押し
参加者の企業では「自社の成長や新しい気づきのため」という前向きな目的を明示することで、コミュニティ参加を積極的に後押しする文化が一般的です。学びとネットワークを組織全体に還元する、という説明が多く、特別なハードルはありません。
コミュニティで得られる"現場の価値"
1.悩みを共有し、物差しを持つ
コミュニティ参加によって、「自分だけが悩んでいるのではなかった」と感じる体験は大きな気づきです。他業種・他社の担当者と直接話すことで、「業界の標準はどうなのか」「自社はどの位置にいるのか」という視点を持ちやすくなります。物事を単なる知識で終わらせず、現場で使える"物差し"として位置づけできる点がコミュニティならではのメリットです。
2.知見やノウハウの交換
セキュリティ対策は、組織リソースや事業特性、経営層の理解度によっても左右されます。コミュニティには、成功例だけでなく"うまくいかなかった"ケースも含めた幅広い経験が集まります。参加者が互いに最先端の情報や具体的な業務ノウハウを共有し合うことで、自信を持って方針を選択できるようになります。
3.具体的な実践エピソード~コラボ・知識・支え合い~
他社事例から広がる業務の選択肢
リクルート・六宮さんは「社内にも知見者はいるが、他社の状況や取り組みは自分だけでは見えない。一度コミュニティに参加することで、まだ自社で取り組めていない領域や異なる考え方に触れられる」と語ります。例えば「内部不正」をテーマにした議論では、自社では得難い実体験を聞き、施策の選択肢が広がりました。
また、「採用イベントを協力して開催する」といったコミュニティ発のコラボで、自社単独では届かなかった層にアプローチできた事例も生まれています。
初心者にも安心な学びの場
バンダイナムコエクスペリエンス・小山さんは、異業種からセキュリティ担当となり右も左も分からない中、コミュニティが"質問しやすく教えてもらえる"空間であることに救われたと話します。知識や経験が足りなくても、敷居が高くなく、温かく迎えられる点が新任担当者にとって心強いポイントです。
登壇・参加両面のメリット
フジテック・北野さんは、登壇者として活動することで「自分の考えが客観的にずれていないか確認できる」とコメント。一方で、聞き手として参加する際には「工場現場の工夫・コスト削減策など、自社だけでは得られない現場の生きた声」が学びとなっています。ベンダーイベントやユーザー会だけでは聞けない本音の情報に触れられるのもコミュニティならではの魅力です。
最後に:今後のビジョンとコミュニティが目指すもの
六宮さんは「不可避なセキュリティ事故による不幸の総量を減らしたい」と話し、コミュニティの"共助"や、つながりを通じた不幸の減少をビジョンとしています。北野さんは「安全・安心の範囲をさらに広げ、日本企業全体のセキュリティレベルの底上げ」を目指すと語ります。小山さんは"初心者も安心して参加できる支援の輪"をさらに広げていきたいと展望しています。
コミュニティを最大限楽しむ3つのポイント
- アウトプットファースト
小さな悩みや失敗も自己開示することで、情報や助けが集まるチャンスになります。 - 信頼関係を大事に
安心して本音を話せる場づくりが、有意義な学びと実践につながります。 - ポジティブマインド
立場も経験も異なる仲間を受け入れあうことで、前向きな成長が促進されます。
セキュリティ担当者の悩みや孤独は、個人だけで抱える必要はありません。コミュニティに参加することで、現場で生かせる実効的なノウハウ・勇気と自信が手に入ります。同じ悩みを持つ仲間と一緒に、一歩前へ進むヒントを見つけてみてください。
Tanevaの詳細はこちらをご確認ください♪
https://www.macnica.co.jp/go/taneva.html
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