セキュリティ従事者の祭典「Security Innovators Summit by Macnica」今年も開催~イベント当日の様子をお届け~
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3行でわかるサマリ
- マクニカ主催「Security Innovators Summit 2025」が開催され、セキュリティをビジネスの原動力とする最新課題と実践が議論された。
- デジタル変革で高まるセキュリティの重要性や、経営層と現場の認識ギャップ、新たな役割について議論。守りから成長基盤への転換や、具体的な気づきが多く共有された。
- 防御型からビジネス直結型へのセキュリティ転換やAI活用、法規制対応事例が紹介された。
はじめに
2025年10月3日、東京ポートホール竹芝にて、マクニカ主催「Security Innovators Summit 2025」が開催されました。昨年の初開催に続く2回目となる今年は、「セキュリティ実装に向けた『理想』と『現実』」をテーマに設定。約200名の方々にご参加いただき、昨年を大きく上回る規模となりました。
会場に足を踏み入れると、参加者の皆さんの真剣な表情と同時に、新たな発見への期待感が感じられます。業界を代表するイノベーターたちとの議論を心待ちにしている様子が印象的でした。
本イベントは「Security as a business driver」──セキュリティを単なる「守り」から「ビジネスの原動力」へと進化させるための実践的なヒントを共有することを目的としています。経営視点からグローバル戦略、AI活用まで、現場で直面している生の課題について、業界のトップランナーたちが本音で語り合う貴重な機会となりました。
目次
- Keynote
- 経営視点でみる、セキュリティの担い手を取り巻く環境変化と新たな任務とは?
- パネルディスカッション
- ビジネス成長を守る盾になる:事業戦略とシンクロするセキュリティの挑戦
- AI×セキュリティ最前線
- マクニカのセキュリティビジョン2030
- マクニカユーザーコミュニティ Taneva ~未来のタネが育つ場所~
Keynote
経営視点でみる、セキュリティの担い手を取り巻く環境変化と新たな任務とは?
Keynoteでは、富士フイルム様、JFEホールディングス様にご登壇いただきました。
従来の「守り」の概念を超えて、セキュリティがいかにビジネスの成長基盤となり得るかについて、実際の経営現場での体験談を交えながら深く掘り下げていただきました。特に注目されたのは、経営層と現場の間に存在するコミュニケーションギャップの解消方法や、セキュリティ担当者に求められる新たな役割についての率直な議論でした。
参加者からは「上層部も現場もセキュリティはよくわかっていないのが現実」という課題認識をはじめ、「経営にわかる言葉の重要性を実感した」「経営者に分かる伝え方をもっと知りたい」といった前向きな反応が多数寄せられました。多くの参加者が深く頷く姿が見られ、共通の課題として認識されていることが窺えました。
パネルディスカッション
ビジネス成長を守る盾になる:事業戦略とシンクロするセキュリティの挑戦
本パネルディスカッションでは、「事業戦略とシンクロするセキュリティの挑戦」について、バンダイナムコエクスペリエンス様、日置電機様にご登壇いただきました。
製造業からエンターテインメント業界まで、異なる業界で事業成長とセキュリティの両立に取り組む企業の実践例が多く共有されました。グローバル化やデジタル化の進展により、従来の境界防御型セキュリティから、ビジネスに直結するセキュリティへの転換が求められる中、各社が直面している具体的な課題と解決への取り組みについて率直に語っていただきました。
特に参加者の関心を集めたのは、製品セキュリティや法規制対応、組織変革の必要性についての議論です。現場のリアルな声が多数紹介され、参加者にとって非常に参考になる内容でした。
AI×セキュリティ最前線
続いてのパネルディスカッションでは、フジテックにご登壇いただき自社の取り組み事例を中心にお話しいただきました。
生成AIの企業導入が急速に進む中で、セキュリティとビジネス活用の両立を図る実践的な取り組みが詳しく紹介されました。単なる禁止ではなく、いかに安全に活用するかという前向きなアプローチで、社内での段階的な導入プロセスや教育体制の構築、さらには海外展開時の応用まで、具体的な事例を交えながら議論していただきました。
急激な技術進化に対応するための組織体制づくりや、現場での実践的な運用ノウハウについて、参加者にとって明日からでも応用可能な知見が数多く共有される有意義なセッションでした。
マクニカのセキュリティビジョン2030
技術の進歩、脅威の高度化、企業のデジタル変革加速といった環境変化の中で、セキュリティ業界全体がどのような方向に向かうべきか、そしてマクニカがパートナー企業やコミュニティと共にどのような価値を創出していくかについて、具体的なロードマップとともにお話しました。
従来の「何か問題が起きてから対応する」受動型セキュリティでは、現在の脅威環境に対応することが困難になってきています。そこでご紹介したのが「Preemptive Cybersecurity=先制型サイバーセキュリティ」という新しいアプローチです。攻撃者より先回りして対策を講じることで、継続的なエクスポージャー管理やAI活用による攻撃予測など、次世代ソリューションを活用してリスクが顕在化する前に封じ込める戦略について詳しくご紹介しました。
実現に向けては、①既存製品の徹底活用、②エクスポージャー管理への変革、③全社一丸となった自律型セキュリティモデルの確立といった3段階のプロセスをご紹介しました。そして、この変革の過程においてマクニカも従来の受動的サポートから伴走型アドバイザリへとサポートスタイルを進化させ、お客様と共にセキュリティを単なる守りの仕組みからビジネスの原動力と変革していく──そんなコミットメントをお伝えしました。
マクニカユーザーコミュニティ Taneva ~未来のタネが育つ場所~
コミュニティセッションでは、各コミュニティリーダーのフジテック様、リクルート様、バンダイナムコエクスペリエンス様、Mizkan J plus Holdings様にご登壇いただきました。
これまでのセッションを踏まえ、参加者同士のつながりやコミュニティ活動の価値について振り返りが行われました。関西・関東・東海の各地域で展開されているコミュニティ活動の紹介とともに、セキュリティの仕事を通じた成長や充実感の共有、課題解決のための相互支援の重要性が議論されました。技術的な知識の習得だけでなく、同じ立場で働く仲間との交流や、他社事例から学ぶことの価値について、参加者の実体験を交えながらご紹介いただきました。
最後に
今回のSecurity Innovators Summit 2025は、「理想と現実のギャップを超える」ための実践的なヒントに満ちたイベントとなりました。登壇者の皆様が語ってくださった数々の体験談は、セキュリティが単なる技術的な課題ではなく、経営戦略、組織変革、人材育成、そしてコミュニケーションを包含する総合的な挑戦であることを改めて示してくれました。
特に印象深かったのは、どの企業も「完璧な答えはない」ことを前提としながらも、現場での試行錯誤と継続的な改善への取り組みを惜しまない姿勢でした。そして、セキュリティの仕事を通じて、やりがいと成長を感じられる環境づくりの重要性についても再認識する機会となりました。
このイベント・コミュニティが今後もさらに発展し、セキュリティに取り組むすべての企業、そしてセキュリティ業界全体に貢献できるように、マクニカとしても邁進します。
改めて、ご参加いただいた皆様、そして貴重な知見を共有いただいた登壇者の皆様に深く感謝申し上げます。
以下より本イベントの一部セッションはSD-Streamにてご視聴いただけます。(サムネイルをクリックすると、視聴ページに遷移します。SD-Streamにご登録の上、ご視聴くださいませ。)



