アタックサーフェスとは?サイバー攻撃に狙われるリスクとASMの重要性
はじめに
アタックサーフェス(攻撃面)とは、サイバー攻撃者が侵入する可能性のある、すべてのポイントや経路のことです。組織の外部からインターネット経由でアクセス可能なIT資産が対象となり、ネットワーク機器やWebサーバ、IoTデバイスなど、多岐にわたります。
近年のサイバー攻撃では、企業が適切に管理できていないアタックサーフェス(攻撃面)が狙われ、深刻な被害につながっています。
ここでは、アタックサーフェス(攻撃面)とは何か、アタックサーフェスのリスクの現状、リスク低減に向けて企業が取り組むべき「ASM(Attack Surface Management)」について、わかりやすく紹介します。
目次
- アタックサーフェスとなりうるIT資産とは?
アタックサーフェスとなりうるIT資産の例 - アタックサーフェスが増えている理由
- アタックサーフェスを狙うサイバー攻撃の手口
- アタックサーフェスマネジメント(ASM)の重要性
- まとめ:アタックサーフェス管理に向けて今すぐ取り組むべき対策は?
1.アタックサーフェスとなりうるIT資産とは?
アタックサーフェスとは、日本語で「攻撃面」と訳され、サイバー攻撃者が侵入する可能性のあるすべての脆弱点のことを言います。主に、組織の外部からインターネット経由でアクセス可能なIT資産が該当します。例えば、以下のようなものがあります。
アタックサーフェスとなりうるIT資産の例
- ルーター、VPNなどのネットワーク機器
外部ネットワークと社内ネットワークの境界に設置される機器です。ファームウェアの脆弱性や設定ミスなどがあると、外部からの侵入に悪用されるリスクがあります。 - インターネット上に公開されたWebサイトやサービスインターネット上に公開されたWebサイトやサービス
公開されたWebサイトやサービスには、誰でもアクセスできます。ソフトウェアの脆弱性や認証情報の不備などが、改ざんや情報漏えいのリスク要因となります。
- 公開された通信ポート
外部からアクセスできる通信ポートが開いていると、攻撃者によって発見され、侵入経路として悪用されるリスクがあります。
- 各種端末・IoTデバイス
セキュリティ対策が不十分な状態で使用されていると、侵入経路になるリスクが高まります。 - クラウドサービスや外部ストレージ
設定ミスなどにより、意図せず外部公開されている場合があり、情報漏えいや不正アクセスにつながります。
2. アタックサーフェスが増えている理由
企業のアタックサーフェス(攻撃面)は、近年急速に増加しています。その背景には、以下のようなビジネス環境の変化があります。
- リモートワークやクラウドの普及
リモートワークやクラウドサービスの普及により、社外から社内ネットワークにアクセスする経路が多様化しました。その結果、攻撃者に狙われやすいIT資産が増えています。 - 業務部門によるIT資産の独自調達
業務部門が独自にアプリケーションやデバイスを調達するケースが増え、情報システム部門が把握できないIT資産が増加しています。適切に管理されていないIT資産は、攻撃者の絶好の標的となります。
3.アタックサーフェスを狙うサイバー攻撃の手口
サイバー攻撃の手口にも変化が生じています。従来のサイバー攻撃は、メールやWebサイト経由での攻撃が中心で、主に以下のような手口でした。
従来のサイバー攻撃の手口
- 不正なWebサイトに誘導し、フィッシング攻撃やマルウェア感染を試みる
- メールの添付ファイルを開かせて、マルウェアを実行させる
- USBメモリ経由で、マルウェアを拡散する
しかし、多くの企業でセキュリティ対策が進んだことによって、こうした手口は成功率が下がりつつあります。代わりに、現在主流となっているのは、アタックサーフェス(攻撃面)を利用した以下のような手口です。
最近のサイバー攻撃の手口
- 不用意に公開されたRDPから社内ネットワークに侵入し、ランサムウェアに感染させる
- 脆弱性のあるVPN機器やネットワーク機器に不正アクセスし、攻撃プログラムを実行する
- 公開サーバやWebアプリケーションの脆弱性を突いて侵入し、不正な操作を行う
ランサムウェア被害の86%がアタックサーフェス経由
実際に、最近のセキュリティインシデントは、外部公開されたIT資産が主な発生要因となっています。警察庁の発表によると、2024年に発生したランサムウェア被害の感染経路は、「VPN機器からの侵入」が55%、「RDP経由」が31%と、外部公開されたIT資産からの侵入が86%を占めていました(※1)。
特に、情報システム部門が把握せず、管理が手薄になっている公開サーバやネットワーク機器は、攻撃者にとって格好の侵入経路になります。
アタックサーフェス(攻撃面)の管理が不十分だと、深刻なセキュリティインシデントにつながります。自社のアタックサーフェス(攻撃面)を把握し、適切に管理することは、企業のセキュリティ強化に不可欠です。
4.アタックサーフェスマネジメント(ASM)の重要性
アタックサーフェス(攻撃面)を管理する手段として注目されているのが「ASM(Attack Surface Management)」です。ASMとは、組織が保有する外部公開資産を把握し、そこに潜む脆弱性やリスクを継続的に管理・対処する取り組みのことです。
経済産業省は、2023年に公表した「ASM導入ガイダンス」 の中で、ASMのプロセスを以下の3段階で示しています(※2)。
①アタックサーフェス(攻撃⾯)の発⾒
外部からアクセス可能なIT資産を洗い出します。
②アタックサーフェス(攻撃⾯)の情報収集
OSやソフトウェアのバージョン、公開されているポート番号などを特定します。
③アタックサーフェス(攻撃⾯)のリスク評価
公開されている脆弱性情報と突き合わせて、リスクを評価します。
このプロセスに取り組むことで、潜在的なアタックサーフェス(攻撃面)を可視化することが可能です。その後は、脆弱性診断などのセキュリティソリューションと同様に、リスクへの対処を行います。
ASMの実施には専門的な知見が求められるため、ベンダーの支援や調査ツールの利用が現実的です。自社に合ったASMツールやASMサービスを選定し、導入しましょう。
5.まとめ:アタックサーフェス管理に向けて今すぐ取り組むべき対策は?
アタックサーフェス(攻撃面)とは、外部からサイバー攻撃者に侵入される可能性のある、あらゆる経路やポイントのことです。ネットワーク機器やWebサーバ、IoTデバイスなど、企業が外部に公開しているIT資産が該当します。
近年のサイバー攻撃は、主にアタックサーフェス(攻撃面)経由で行われます。アタックサーフェス(攻撃面)を管理するために注目されているのが「ASM(Attack Surface Management)」です。ASM(Attack Surface Management)に取り組むことは、企業のセキュリティ強化に不可欠となっています。
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参考
(※1)警察庁サイバー警察局「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(警察庁)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R6/R06_cyber_jousei.pdf , (参照2025-05-12)
(※2)経済産業省 商務情報政策局 サイバーセキュリティ課「ASM(Attack Surface Management)導入ガイダンス~外部から把握出来る情報を用いて自組織のIT資産を発見し管理する~」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230529001/20230529001-a.pdf , (参照2025-05-12)